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『行列の女神~らーめん才遊記~』第6話ネタバレあらすじと感想!ゆとりが難波(松井玲奈)に勝利した理由とは?

こだわりを持つこと、顧客のニーズに合わせること。

 

飲食業にとって、どちらも捨てられない

重要な要素であることは間違いないですよね。

 

今回は『行列の女神~らーめん才遊記~』第6話ネタバレあらすじと感想!

ゆとりが難波(松井玲奈)に勝利した理由とは?

についてお話していきます。

 

 

『行列の女神~らーめん才遊記~』第6話ネタバレあらすじ

 

●屋台時代

屋台時代の芹沢。客はわずかに2人。

 

しかもその二人すら、

「こってり系のラーメン屋は行列で入れない、

ここのまずいスープは薄味でコクがない」と

散々な言い様だ。

 

客の暴言に心穏やかでない芹沢は、

「早くしろ」というヤジに

スプーン大盛り一匙分のラードを手にするのだった…。

 

 

●新たな依頼

割烹着を着てはしゃぎ倒す汐見。

 

今日は初めて「らあめん清流房」の

厨房に入れることになった日だ。

 

同僚たちにかっぽう着姿を見せびらかすために

清流企画の事務所までやってきたというのに、

白坂の姿がない。

 

なにやらクライアントとのトラブルを抱えている白坂。

 

電話をしておりこちらに気づく気配がない。

 

「担々麵にマーボー麺すよ、最近は…。

専門店も増えてきてね、勢いがあるんすよ勢いが!」

 

担当している店舗の新メニューについて、

クライアントと意見がかみ合わないようだ。

 

店主のこだわりには取り合わず、

流行りものを提案する白坂に、

夏川たちも少々あきれ顔だ。

 

「部長~、ちょっとクライアント先行ってきます。

なんか流行りものには乗っかりたくないとか

言い始めちゃって…」

 

「自分の店で出すとなると

いろいろ考えはあるでしょうからね。

しっかり要望を聞いて、

よりよい結論が出せるようにしてください」

 

「はい」

 

割烹着を褒めてもらいたくて走り回るゆとりを

「似合う似合う」とあしらって、外出する白坂。

 

「なんか、あしらわれたんですけど…」

 

「あいつ、クライアントと相性悪いとすぐブーたれるから」

 

「彼は、勉強熱心ですよ。顧客のニーズをつかんだアドバイスも

実に的確です。難点を言えば、

自分の提案に確固たる信念を持ちきれないところですか」

 

「要するに、軽薄でふわふわしてるってことですよねえ…」

 

夏川、河上、須田は、白坂の高い能力と

欠点についてよくわかっていた。

 

そして汐見が用事も忘れて割烹着を

見せびらかしているということも。

 

汐見は本来の用事を思い出し、

チャーシューの在庫を持って

慌てて清流房の厨房へ戻った。

 

店に戻ると、月替わりの「フグ出汁ラーメン」を

ひときわ大きな声で誉めたてる男性客が現れた。

 

汐見が注意していると芹沢がそれを静止し、

「お久しぶりです」と挨拶をした。

 

大声を出していた男は、

楽麺フーズ(株)の社長・蒲生博昭(マギー)。

 

楽麺フーズは、「らーめん楽麺房」を

全国的にチェーン展開するラーメン業界最大手だ。

 

楽麺房はシンプルな味付けと安さで急成長したものの、

安定期に入って伸び悩み、最近は新たな展開として

ラーメン屋での居酒屋経営なども考案している。

 

蒲生は今回、新しく池袋にオープンする楽麺フーズの

店舗限定看板メニューを考えるコンペを

清流企画に持ちかけに来たのだ。

 

池袋は都内有数の学生街、オフィスも多い地域であることから、

このコンペのテーマはボリューム系ラーメンである。

 

「うちはかまいませんよ。リスクヘッジを行うというのは

経営者として当然のことですし

真っ向勝負で負けるつもりもありませんから。

で、相手のもう一社というのは?」

 

そこへ現れたのは味惑コーポレーションの

社長・福花康男(夙川アトム)と

社員・難波倫子(松井玲奈)。

 

難波の指名もあり、

またもや汐見と難波倫子の

直接対決となった。

 

「つけ麺あんざい」のコンペ(第3話)では

痛み分けだったが、今度こそ決着がつくというわけだ。

 

 

●白坂と汐見のタッグ

芹沢の指示で、今回は白坂をサポートにつけた汐見。

 

出汁に使う小魚を出しながら

アイディアを出そうとする汐見だが、

白坂はタブレットでボリューム系ラーメンの

画像を見せるのみで、食べ歩きには消極的。

 

白坂が言うには、ボリューム系ラーメンは

傾向が決まっておらず、味付けはばらばら、

共通点はリーズナブルでボリューム満点ということだけで、

食べ歩きをしても参考にならないのだ。

 

「とっかかりがなく難しい」という汐見に、

「難しく考える必要はない、

客が求めているのは無難な味とインスタ映えだ」と

言い切る白坂。

 

「客のほとんどは保守的で、

知名度とか誰かの推薦を頼りに店を選んで、

そこで食べた味に満足して帰っていく。

つまり彼らは、情報を食べているのよ」という

かつての芹沢の言葉がリフレインし、

敗北の古傷がうずく汐見。

 

「ま、須田さんあたりからたまに言われるけど、

俺は軽薄でふわふわしてるからね~…。

商売は儲けてナンボ、変なこだわりを持つより

客受けが一番だと思ってるからね。

…せっかくだから、一軒くらいは実際に食べに行こうか?」

 

白坂が清流企画に入って初めてコンサルティングした

つけ麺屋にやってきた汐見と白坂。

 

そこは「油そば専門店 きよた」だった。

 

しかし、店の前までやってきた白坂は

おかしなところに気づいた。

 

店名も店主も違っているのだ。

 

「きよた」を切り盛りしている店主に話を聞くと、

1年前まで営業していた「油そば専門店 まきはら」の店主は

味惑コーポレーションに店舗を売却し、

今はどこにいるかわからないという。

 

自分のコンサルティングした店が人手に渡っていた、

それも味惑コーポレーションという別会社を通して。

 

つらい現実に打ちのめされる白坂に、

芹沢や河上の反応は味気ない。

 

「これって問題じゃないですか?

うちがコンサルを担当した店を

別のコンサル会社に売却するなんて!」

 

「問題ないわよ、自分の店をどうするかなんて、

その店の持ち主が好きに決めることでしょう?」

 

「もう終わった案件ですよ、白坂くん」

 

道理を説かれても納得できない白坂。

 

それもそのはず、「油そば専門店まきはら」は、

白坂が初めてコンサルティングをしたというだけではなく、

店主の牧原は大学の先輩でもあったからだ。

 

何の知らせもなく店を売却し、

連絡もつかなくなってしまった牧原に

不信感を募らせる白坂。

 

すると汐見は「おそらく、その牧原さんは殺されていますね」と

素っ頓狂なことを言いだす汐見。

 

「状況的にそう考えるのが自然です。

きっと、味惑コーポレーションが前の店主を

亡き者にして、お店の権利を奪ったんです!

間違いありません!」

 

「もっと詳しく聞かせて」

 

汐見の小芝居に乗って身を乗り出す須田。

 

「とにかく、このまま放置はできませんよ!

私、味惑コーポレーションに行って話をつけてきます!!」

 

「ちょ、どういうことですかー!!」

 

「は~あ、無駄に行動力のあるバカはこれだから…」

 

「白坂、あなたもついていきなさい」

 

芹沢の指令を受けて、

汐見のお守りを命じられた白坂も

味惑コーポレーションに向かった。

 

 

●「麺工房まきはら」のコンサルティング

 

「犯人はあなたですね、難波倫子さん!」

 

汐見の突き立てた人差し指を握り曲げ、

メンチを切る難波。

 

「ドアホが二人そっちに行くから

適当にあしらって帰してくれ」と

すでに河上から連絡が入っているようだ。

 

「油そば専門店まきはら」の店主の行方を尋ねるが、

担当者でもない難波が知っているわけもない。

 

「大学の先輩から依頼されてコンサル担当したのに、

一言の連絡もなしに店売られるとか、

あんたよっぽどその人から嫌われてるんとちゃう?

なんや面白そうやな、当時の担当者に聞けば

連絡先くらいわかるかもしれんし、

詳しい話聞かせてくれたら、考えたってもええで?」

 

難波に促され、白坂はかつての案件について語りだした。

 

「麺工房まきはら」は、芹沢に憧れた職人気質の店主・牧原が、

月替わりで新作の創作ラーメンを出す店だった。

 

しかし、向かい側にボリューム自慢のつけ麺屋が

オープンし大繁盛してしまい、店は閑散としてしまう。

 

そこで牧原は清流企画に依頼したのだが、

味へのこだわりの強い牧原が

納得する新作ラーメンはなかなか作れなかった。

 

その上、繁盛しない店に見切りをつけた

バイトのアキちゃんが辞めていってしまう。

 

牧原はずっとアキちゃんに片思いしていたため、

これはダブルパンチだった。

 

しかも、アキちゃんはその後、

向かいのつけ麺屋でバイトをはじめ、

店長と付き合いだしてしまったのだ。

 

「こだわりなんか捨てるから、相手の店に勝ちたいんだ」

 

こだわりを捨てた牧原に、

油そば専門店にすることを提案したのは、

ほかでもない芹沢だった。

 

油そばはスープを作る必要がなく、

調理の手間も簡単。原価率も人件費も抑えられるうえに、

お客が食べるスピードも速いから回転率もよい。

 

新入社員の白坂は、芹沢の機転に感銘を受けた。

 

「正直意外でした!創作ラーメンを作り続ける社長が、

こういう形でリニューアルを提案するなんて」

 

「私は職人のこだわりを否定したわけじゃないわよ。

彼が、こだわりを捨てると言ったから、

現時点で最前の手を打っただけ」

 

「客足も戻って、例のぶっとい軒も店を

閉めることを決めたみたいですからね」

 

「白坂、ラーメン屋っていうのは

趣味でも道楽でもサークル活動でもない。

ビジネスなのよ。

だから、まずはどんな形であれ勝つこと。

勝たなきゃ何にも始まらないんだから」

 

芹沢のその言葉は、白坂のノートに今も残っている。

 

「私は納得できません。

牧原さんのラーメンへのこだわりを

踏みにじるようなやり方です!」

 

「お子ちゃまやなあ、あんたは。

本人がそれを受け入れて、店が繁盛したんやったら、

コンサル大成功やんか」

 

「でも結局、お店を手放しちゃったんですよ?」

 

「味惑さんに売却を依頼したのは、

やっぱ俺に言いにくかったからなのかなあ…」

 

「本人に直接聞いてみるのが一番です!

難波さん、約束通り、牧原さんの連絡先、

担当の方に聞いてもらえますか?」

 

「誰も約束なんかしてへんわ。お疲れさんでした」

 

話を聞くだけ聞いて突き放す難波に、怒り心頭の汐見。

 

考えてみれば如才ない難波が、敵に塩を送るわけがない。

 

結局白坂の過去が明らかになっただけで、

「牧原がなぜ繁盛している店を手放したのか」という

謎は残ったままだった。

 

●難航する白坂案件

清流企画に戻り、難航している案件の

クライアントと打合せする白坂。

 

「流行りものだからってレベルが低いものを出すのは嫌だ」という

客の言葉も、牧原のことが気になって

ぼんやりしている白坂には届かない。

 

ぼんやりしている白坂とアイディアが浮かばない汐見いる厨房に、

夏川と須田が励ましにやってきた。

 

「白坂さ、あんた、牧原さんに会って話聞いてきたら?」

 

「え?」

 

「なんとなくだけど、社長も部長も何も言わないのって、

あんたに何か気づかせようとしてるっぽいからさ」

 

「とはいっても、連絡先も居場所もわからないですし」

 

そこに一枚のメモを差し出す須田。

 

「麺屋まっきぃ」という店で、

今も牧原はラーメン屋を経営しているという。

 

悩んでいる白坂のために、

須田がラーオタ仲間の情報網で探してもらったのだ。

 

須田のやさしさに感激する白坂。

 

「須田さん、俺、今まで誤解してました…。

須田さんのこと、ラーオタで、地味で、

根暗で、ぶっちゃけ苦手な先輩だなと思ってたんですけど、

バカにしてたんですけど、すいません!

ありがとうございまーす!」

 

「メモ返せ、ちょっ、メモ返せ!」

 

メモを頼りに白坂と汐見が「麺屋まっきぃ」に向かうと、

店頭には創作ラーメンを作る牧原弘貴(金井勇太)の姿が。

 

牧原が白坂に一言も言わなかったのは、

白坂を嫌っていたわけではなかった。

 

むきになって油そば屋に転向し、

客足が途絶えなければいいと思って始めた店が

大繁盛したものの、店に置いてあった雑誌の

「こだわりラーメン」の文字に涙する牧原。

 

そこへ河上がやってきた。

 

牧原が、割り切れない思いを抱えていることを、

芹沢と河上はすでに理解していた。

 

「商売というのは難しいものです。自分の作りたいものと、

お客様の求めるものは必ずしも一致しませんし、

自分が信じた味が、お客様に受け入れてもらえるとも限らない…」

 

「なんで…、泣いたんですかね、俺。

自分でもわからないんですよね。

繁盛したことがうれしいのか、

こだわりを捨てたことが悔しいのか」

 

「どちらもでは、ないでしょうか。

あなたが流した涙は、かつて、

うちの社長も流した涙ですから」

 

「え…?」

 

牧原に味惑コーポレーションを紹介したのは芹沢と河上だった。

 

しばらく悩んでのち、牧原は新天地で

自分が作りたいラーメンを作ることに決めた。

 

清流企画に店を手放す相談はしづらく、

白坂には申し訳ない気持ちもあったため、

味惑コーポレーションに依頼したというのが事の顛末だった。

 

話し込んでいると、麺屋まっきぃに客がやってきた。

 

客が注文したのは、新作ラーメンと

ライスというラーメンライスのセット。

 

ラーメンライスとは、ラーメンをすすり、

その濃い味をおかずにラーメンを食べる、

W主食の元祖ボリューム系の食べ方だ。

 

「ラーメン専門店は、あんまり最近こういうのやらないんだけどな。

うちは材料にこだわってるから、

原価がかかっちゃって。で、足りないボリュームをライスで補うわけよ」

 

初めてラーメンライスを実践した汐見に、ひらめきが舞い降りた。

 

「おっ…、変な感じ。でも、ちょっとワクワクします!」

 

●汐見のひらめき

明け方、出社した芹沢に白坂は頭を下げた。

 

「自分の考えが至らなかったあまりに」と

後悔する白坂に、芹沢はやさしく言い諭す。

 

「白坂、あなた、大きく間違えたわけじゃないのよ。

商売である以上、顧客のニーズに沿うのは当然。

うちの社員は特に、ラーメンフリーク的な、

そんなメンバーが多いから、リサーチやトレンドを

重視したあなたみたいなタイプは、貴重な戦力だと思ってる。

だからその武器を活かすためにも、次のステップに進んでほしいの。

特に最近、あなたのタイプが陥りがちな落とし穴に、

はまりかかってるんじゃない?」

 

「落とし穴…?」

 

芹沢の意味深なアドバイスを受けた白坂の後ろで、

新作ラーメンができた汐見が厨房の窓を開けた。

 

徹夜で作った試作が完成したのだ。

 

試食する芹沢の瞳がきらりと光る。

 

「どうでしょうか…、楽麺房のメニューとしては、

少し凝りすぎてるかもしれませんが…」

 

「たしかに、賭けの要素がややあるわね…。

…いいわ、うちはこれで行きましょう」

 

そしていよいよ、楽麺房のオフィスで、

店舗限定メニューのコンペが始まった。

 

審査員は社長の蒲生、ラーメン評論家の有栖、

そして食いっぷりの良い楽麺フーズの社員8名。

 

清流企画が先攻だ。

 

汐見が考え出したのは「オコゲ・ラーメン」。

 

お米をかつおだしで炊いて、

ラーメンの醤油だれをたっぷりまぶし、

冷凍して水分を飛ばしてから揚げたものを

レタスの上に乗せた、さまざまな触感の楽しめるラーメンである。

 

「これはいい!ラーメン自体こってりしたとんこつスープに、

ぷるぷるの太麺で、そこにカリカリのおこげが加わることで、

二つの触感を楽しめる!」

 

触感だけではない。オコゲ・ーメンにはもう一つ仕掛けがあった。

 

「味が変わった…とんこつ味のスープが、とんこつ魚介醤油味に…」

 

「なるほど、おこげの味付けのかつおだしと醤油だれが

溶け込んだんだ!うまさだけではなく、楽しさも満載ですなあ!」

 

「かぁ~!山あり谷ありで口を飽きさせない創意工夫、

これはつまりラーメンライスの進化系ってわけだ!」

 

汐見の発想は有栖と蒲生にしっかり伝わり、

「若いのに大したもんだ」と高い評価を受けた。

 

対して後攻、味惑コーポレーションの難波は、

ひるむどころか自信に満ち溢れている。

 

「確かに素晴らしい味でしたが、

清流企画さんはボリューム系にとっての

肝を掴んでおられなかったので」

 

「お手並み拝見します、難波さん」

 

難波が考案したのは「唐揚げラーメン」だ。

 

京都のラーメンから揚げセット、

中華料理の排骨麺をヒントに作られたこの唐揚げラーメンは、

ボリューム系ラーメンの王道である。

 

唐揚げはショウガが効いており、

富山ブラックばりに濃い醤油スープには、

ニンニクがたっぷりと効かせてある。

 

それだけではなく、唐揚げの衣には

麺を蒸して水分を抜いたあと、

細かくくだいたものを利用し、

衣がはがれて麺が濁ることを防いでいる。

 

味もショウガにニンニク、

シンプルながらガツンときて食欲をそそる。

 

勝負は五分、どう転ぶかはわからない。

 

すべての投票が終わり、開票する前に、

「肝を掴んでいない」という言葉の意味を説明するよう、

蒲生は難波に促した。

 

「あえて唐揚げラーメンを単調な味にしたのは、

単調な味の方が受けやすいと見越してのこと」と語る難波。

 

ボリューム系ラーメンの客層は、若い男性客がメイン。

 

若い男性客には単調な味の方が受けやすいと考えたのだ。

 

「要するに若い男っちゅうのは、

にんにく味~とかしょうが味~とか、

単純な味にしか反応できん、

舌バカが多いっちゅうことや」

 

難波の傍若無人キャラはともかく、

言い分には蒲生も理解を示した。

 

若者はボリューム第一、シンプルな味付けを好む。

 

実際に好まれるメニューも

ハンバーグ、カレー、焼き肉、牛丼などだ。

 

オコゲ・ラーメンのような複雑な味は理解されない可能性が高い、

つまりリスクが高くボリューム系ラーメンとしては成功しない、

というのが難波の主張である。

 

蒲生に話を振られた芹沢も、

それを全否定することはしなかった。

 

「彼女の言葉は間違ってません。

ただ、わかっていないのはどちらなのかは、

結果を見てから」

 

そして開票の時。3対5ではっきりと勝敗はついた。

 

いったいどちらのラーメンが選ばれたのか。

 

「難波さん、残念ながらあなたの予想は外れたようです」

 

選ばれたのは汐見のオコゲ・ラーメンだった。

 

ボリューム系ラーメンの欠点は、

その量の多さから、食べている途中で味に飽きてしまうこと。

 

オコゲ・ラーメンは、その欠点を見事に克服していた、

というのが審査員たちの評価だ。

 

「若い男は舌バカ、

一概にそう言えなくなってきている

ということでしょう」

 

数十年前ならいざ知らず、

パスタ、カレー、オムライスというお決まりのメニューでも

専門店が乱立し、様々な味が楽しめる現代。

 

「ある程度味に奥行きがないと今の時代に対応できない」と判断し、

賭けに出た汐見と芹沢の完全勝利だった。

 

「完敗だな、難波」

 

屈辱と恥ずかしさに震える難波だが、

難波を見る芹沢の視線は厳しくもあたたかかった。

 

●リサーチ・コンサルティングの落とし穴

会社のロビーで悔しさをかみしめる難波に、

通りかかった芹沢が声をかける。

 

「難波さん、私、あなたを優秀なフードコンサルタントだと

思っています。だから一つ、アドバイスします」

 

「は?」

 

「リサーチを尽くして顧客のニーズを探ったり、

トレンドを追いかけたりするのは、

コンサルタントとして当たり前の仕事です。

じゃあ、それは何のために?」

 

「そんなん決まってますやん!お客さんを店にたくさん呼ぶため、

お客さんに満足してもらうためでしょ!?」

 

難波のリサーチに穴はなく、

リサーチによって結果を出すことは

難波の信念でもあった。

 

「そうね、時としてその手法には落とし穴があるわ。

それは、お客をなめてしまうってこと。

この連中ならこのメニューに食いついてくるだろう。

この程度の味で満足するだろうっていう風にね。

確かに、みんながみんな鋭敏な味覚を持っているわけじゃない。

味バカ、舌バカと呼べるお客も中に入るでしょう。

でもだからといって、店やフードコンサルタントが

お客をバカにしていいっていう理屈はないのよ。

お客様のニーズに応えることと、

お客のレベルを見切った気持ちになることは全く別物。

…よく覚えておいてね。」

 

「…ご忠告、感謝します」

 

芹沢のアドバイスを正面から受け止めた

難波は立ち上がり、丁寧にお辞儀をした。

 

今回は汐見に負けたとしても、

今後も成長し強敵となることだろう。

 

 

●商売とこだわりの難しさ

白坂の難航していた案件も、光が見えてきた。

 

「…いいのか、マーボー麺出すのやめて」

 

「ええ、ご店主が乗り気でないなら、

もう一度新メニューについて検討したほうがいいと思って」

 

「どういう心境の変化だよ?

この間まで流行りものだしときゃ

客が来るって感じだったのに」

 

「いやそりゃあ、今でも客がついてくると思ってますよ?

ただ、そこにこだわりがなきゃダメだなって気づいたんで」

 

成長した白坂の言葉に、夏川と須田も安心した様子で微笑む。

 

「変われば変わるもんね、あいつも」

 

「あれでやっと普通。清流企画の社員として

今までこだわりが無さ過ぎたんだから」

 

汐見は、牧原から聞いた芹沢の過去について

河上に聞いてみたいのだが、なんとなく聞けずじまいだ。

 

「あなたが流した涙は、かつてうちの社長も流した涙ですから」とは、

いったいどういう意味だったのか?

 

質問をする代わりに、汐見は清流房で看板メニューを食して帰ることにした。

 

「お疲れ様です」

 

「おつかれ、雨だから気をつけて帰りなさい」

 

「あ、いえ、帰りにラーメンを食べていこうかと思って。

いつもは混んでますし、考えてみたら私、

看板メニューを食べたことなかったんです」

 

「…社員割引はないわよ」

 

「はい、濃い口醤油らあめんをお願いします!」

 

汐見に濃い口醤油らあめんを食べさせる芹沢の表情は複雑だ。

 

「おいしい~!鮎の煮干しの風味と、

ヘッドのこってり感がマッチしていて、

すごい完成度です!」

 

「…ワクワクする?」

 

「へ…?それは…」

 

「…正直ね。じゃあ、こっちも食べてみなさい。

淡口(うすくち)醤油らあめんよ。

こっちはおごってあげるわ」

 

看板メニューの濃い口ではなく、

淡口を食べさせる芹沢に、

戸惑いながらもラーメンを口に運ぶ汐見。

 

「これ…すごい!社長、この味…!」

 

「そうよ、その薄口醤油らあめんこそ、

わたしが自分の職人魂をかけて生み出した、作品だもの」

 

箸が止まらない汐見を、満足げに見守る芹沢。

 

看板メニューの濃い口と、職人魂をかけた淡口。

 

汐見の心を動かすラーメンと、

売れるラーメンの違いは、ここにあるのだろうか。

 

 

『行列の女神~らーめん才遊記~』第6話の感想

こだわりを持つこと、顧客のニーズに合わせること。

 

飲食業にとって、どちらも捨てられない

重要な要素だというお話でしたね!

 

一人の人間の体力と言うか、

二つ以上のことを考えると疲れてしまって

極端な方に振り切りたくなってしまう気持ち、

よくわかります…。

 

人はそれぞれ違った味覚を持っているように、

何か問題が起きたときに解決するアプローチもそれぞれ違います。

 

勝負の勝ち負けはついても、

ラーメン道は、人生は正しい・間違いの二択ではない

ということを伝えてくれる本当にすばらしい作品です。

 

牧原や難波とのかかわり方を通して、

少しずつ芹沢の過去が明らかになってきました。

 

是非このまま最終回まで走り切ってほしい!

 

『行列の女神~らーめん才遊記~』第6話のラーメン協力

 

☆麺ロード青葉台店

 

〒227-0062 神奈川県横浜市青葉区青葉台2丁目11−2

 

「油そば専門店 きよた」の

撮影に使われたお店です♪

 

油そばではなく淡麗系ラーメンや濃い味の

ボリューム系ラーメンなど幅広く味わえるお店です。

 

 

☆らーめん玉彦

 

〒114-0023 東京都北区滝野川7丁目1−9

牧原さんの新天地「麺屋まっきぃ」の

撮影に使われたお店です♪

 

まぜそば、つけ麺、カレーライス…

こちらは創作ラーメンではなく

ボリューム系ラーメンのお店です!

 

 

『行列の女神~らーめん才遊記~』第7話の予告

 

まもなく開催される世界的な日本食文化発信イベント

「ジャパンフードサミット2020」のラーメン部門責任者に、

芹沢達美(鈴木京香)が抜擢される。

 

日々準備に追われる芹沢に代わり、

しわ寄せを食らう河上堅吾(杉本哲太)は

疲労困憊状態。

 

一方、夏川彩(高橋メアリージュン)は、

芹沢から月替わりラーメンを開発するチャンスを与えられるが、

思うようなものが出来ず思い悩んでいた。

 

そんな中、名店『麺房なかはら』の店主・中原昌英(石黒賢)が

「清流企画」にやって来る。

 

90年代にラーメンの価値を

一気に上げたラーメン界の大スターだ。

 

ところが「ラーメン博物館」に出店した新店舗の客入りが悪く、

原因がわからないため相談に来たという。

 

本店と寸分違わぬ味でやっているのになぜ客が来ないのか?

 

話を聞いた芹沢は、この依頼を

汐見ゆとり(黒島結菜)に担当させる。

 

プライドが高い中原を汐見に任せることに、

周囲は不安を抱くが、芹沢にはある思惑があって…。

 

早速、ゆとりと夏川は問題の店舗を訪れるが、

芹沢が担当すると思っていた中原は激怒。

 

「芹沢の嫌がらせだ」「依頼は取り消し」と、

汐見たちを追い返そうとする。

 

実は芹沢、河上とは同じ店で修業をした間柄。

 

厳しい先輩だった自分を2人は今も恨んでいると、

中原は思い込んでいたのだ。

 

追い出されながらも、せっかくだからと

中原のラーメンを食べた汐見は、その味を絶賛。

 

だが店に入ろうとしない客の反応を見て、

ゆとりはあることに気づく…。

 

「理想と現実の間で戦っています。

その勝負に勝つことはできなかった」と

言う芹沢の言葉の真意は!?

 

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