『行列の女神~らーめん才遊記~』は、
カリスマ社長・芹沢の辣腕コンサルドラマであると同時に、
ポンコツ社員・汐見の育成ドラマでもあり、
どちらのテーマも同時に描き切ったいいドラマに仕上がっていますね。
今回は、『行列の女神~らーめん才遊記~』第5話
ネタバレあらすじと感想!後継者不足はどの業界も同じ?
についてお話していきます。
『行列の女神~らーめん才遊記~』第5話ネタバレあらすじ
5杯目🍜 5月18日(月)夜10時!
老舗店の後継者を見つけるのは誰だ‼️清流企画メンバーが人材発掘で真剣勝負👊天敵ようこさんも再登場😳⁉️
お楽しみに🍥#鈴木京香 #黒島結菜 #高橋メアリージュン #小関裕太 #前野朋哉 #石塚英彦 #高畑淳子 #杉本哲太 #音尾琢真 pic.twitter.com/ObYRJ7TZ7t— 行列の女神〜らーめん才遊記〜(テレビ東京ドラマ)6杯目5月25日(月)よる10時 (@Biz_txdorama) May 11, 2020
●橋爪ようこの計略
―――脂っこくって塩分過多のくせして、
いまや国民食などともてはやされている
悪魔の食べ物「ラーメン」。
そんなラーメンと戦う料理研究家、
それがあたし。橋爪ようこ。
「そしてそんなラーメンの毒に
身も心も侵されてしまった、
哀れな私の娘・ゆとり…」
ようこの経営する
「橋爪ようこクッキングスクール」の
一室で椅子に縛りつけられている汐見。
「ゆとりの体の中のラーメンの毒を洗い流してあげる」と
高らかに宣言したようこが指を鳴らすと、
ようこの手下である社員たちによって
次々と健康薬膳料理のフルコースが運ばれてきた。
悲鳴を上げるが、汐見の助けは来ない。
なぜこんなことになってしまったのか?
●後継者不足
\5杯目まであと3時間❗️/
今回は絶品タンメン店が舞台🍜
たっぷり野菜と美味しいスープ🤤✨
そして真心のこもった接客💕
店主夫婦の想いを受け継ぐのは…❓❓ pic.twitter.com/nlbvNPFb1K— 行列の女神〜らーめん才遊記〜(テレビ東京ドラマ)6杯目5月25日(月)よる10時 (@Biz_txdorama) May 18, 2020
事の始まりは3週間前。
清流企画に人材発掘の依頼がやってきた。
依頼主は「おおひら食堂」店主の
大平茂幸(螢雪次朗)・芳江夫妻(茅島成美)。
「おおひら食堂」の売りは野菜がたっぷり入ったタンメンだ。
ラーメン評論家・有栖も
このタンメンを目当てに20年間通い詰めている。
有栖のような客で店は繁盛はしているものの、
70近くなった体の不調、子供がいないことを理由に、
夫妻は今年いっぱいで店を畳むことを考えているという。
しかし40年続けた店をつぶすのは忍びなく、
後継者を探してほしいというのが依頼の経緯だった。
地域密着型の繁盛店で、相場よりずっと安く店を
譲ってもらう好条件のコンサルティングを
任された芹沢は、社員の人脈を利用して
候補者を募ることを提案。
結果は社員のボーナス査定の参考にされる。
新入社員で人脈のない汐見への救済措置として、
芹沢はアルバイトの面接スケジュールを渡した。
「らあめん清流房池袋店」のアルバイト不足を
解消するための面接を汐見に担当させるという河上。
「じゃあこの中に良さそう人がいたら、
おおひら食堂の後継者候補も見つけていいということですよね!」
「…良さそうな人がいたら、ね?」
「ありがとうございますっ!
…なんですか皆さん、変な笑い方して…」
芹沢の含みのある言い方、
笑いをかみ殺す夏川たちを不審に思いながら、
汐見はアルバイトの面接会場に向かった。
●はじめてのアルバイト面接
今夜10時放送の「行列の女神~ #らーめん才遊記 ~」
第5話では…🍜
/
個性豊かすぎるアルバイト希望者が登場❗️⭐️
\#鳥居みゆき #コージ・トクダ (元ブリリアン)#薄幸 (納言)#土佐有輝 (土佐兄弟)#竹内一希 (まんじゅう大帝国) #佳久創
是非ご覧ください👀💞 pic.twitter.com/Bzxm8wElz5— テレビ東京宣伝部 (@TVTOKYO_PR) May 18, 2020
会場に来たものの、面接候補者たちは、
誰一人として時間通りに来ない。
やって来ても爪にド派手なマニキュアとデコレーションをしている、
面接中に電話をかける、面接に母親同伴でやってきて自分はゲームに夢中…。
ラーメン店バイトの面接会場は魑魅魍魎の宝庫だった。
すっぽかしが5人、遅刻が4人、
一人だけ時間通りに来た人は母親同伴。
肉体的にも精神的にもきついラーメン店のバイトは、
不人気な上に変わった人が応募することで有名だった。
明るくてはつらつとした人材が集まるのは、
出会い目的・サークル感覚で働けるオシャレなカフェや
大手外食チェーンだけだ。
ラーメン屋のバイトに
外国人が多いこともこのことに起因している。
「ま、ぶっちゃけおおひら食堂の後継者候補どころか、
バイトすら全滅の可能性高いから、ご愁傷様」
静かにうなづく同僚たち。
「それ知っててみんな笑ってたんですね!?」
次の日、定刻の5分前に来たバイト候補・畑中(佳久創)は
熱烈なラーメンフリークで、
「らあめん清流房で働くことが長年の夢でした。
あの芹沢社長の下で働けるならタダでもいいので、
私を雇ってください!」と熱意に溢れる好青年だった。
これはと思いすぐに芹沢にプレゼンする汐見だったが、
「うん、不採用」と芹沢はつれない返事。
「どうしてですか!?」と食い下がる汐見。
「仮に、タダで雇ったとする。
一日目は1時間も経たないうちに仕事がきついと弱音を吐く。
二日目にはやっぱりバイト代よこせと不平を言う。
そして、三日目には来なくなるわよ」
「その彼は、バイト経験がないんでしょう。
経験があれば、時給をもらう大変さを理解してるはずですし、
軽々しくタダでもいいなんて言葉を言わないはずですよ」
部長の河上の指摘に深くうなずく芹沢。
「お金を払うということは、仕事に責任を負わせること。
お金をもらうということは、仕事に責任を負うことよ。
汐見、お金の価値を理解していない人間の仕事は、
必ず無責任なものになるから、よく覚えておきなさい」
「……はぁ」
「どうもピンと来てなさそうねえ…」
あきれる芹沢に、部長の河上がフォローを入れる。
「一時期、よく耳にしたでしょう?
いわゆるバイトテロというやつですが」
「あぁ~、店内で悪ふざけした動画をSNSに上げて、
炎上しちゃうっていう」
「ああいう事態が起こると、
最悪閉店せざるを得ないという
状況にもなりかねません」
「人材の確保っていうのはそれほど難しいのよ。
いい勉強になったでしょう?」
初めからこの結果を見越していた芹沢と河上の言葉に、
憤慨する汐見。
「そんなに難しいなら最初っから言ってくださいよ!
ただでさえおおひら食堂の後継者を見つけなきゃいけないのに、
まるっきり時間の無駄じゃないですか!」
「あ、言い忘れてたけど、おおひら食堂のコンペ、
明日からスタートすることになったから」
●おおひら食堂のコンペ
白坂、夏川、須田の三人は、自分の人脈の中から
選りすぐりの3人を連れて、おおひら食堂に並んだ。
芹沢は、この3人を順番に、
明日から3日間実際に店主として働いてもらう
「模擬営業コンペ」を考案。
審査は大平夫妻と芹沢。
レシピは大平夫妻がすべて伝授する。
有栖に「大平さんからもひと言」と促され、
茂幸は思いのたけを語った。
「皆さん明日から、どうぞよろしくお願いします。
口幅ったいことを言うようですが、
この店は、40年間続けてきた、
私たち夫婦の生きた証なんです。
ですから、隠居した後もできるだけ今の味を遺していきたい。
その思いを、汲んでください」
静かに頭を下げた大平夫妻の熱い思いを受け止め、
さっそくコンペはレシピづくりの伝授に入った。
厨房の外からその様子を眺める芹沢に、
汐見が素朴な質問をする。
「模擬営業コンペなんて
ずいぶん大掛かりなことをするんですね」
「店を格安で譲って隠居するっていうんだから、
あの夫婦相当ため込んでるわよ。
手間暇かけた方がコンサル量がっぽり取れるもの」
「またそんなゲバゲバなことを…」
●1人目・松井正弘
数日後、白坂の推薦を受けた松井(谷遼)を
見にいく芹沢、汐見、白坂の3人。
白坂は大手ラーメンチェーンの店長を3年経験している、
調理も経営もできるマルチプレイヤー。
目標は独立・開業、複数の飲食店の経営。
なかなかの人材に好感触の芹沢と大平夫妻。
しかし、1人客に「お好きな席にどうぞ」と声をかけ、
テーブルに座らせてしまう。
そのせいであとに来た3人の団体を
カウンターに座らせざるを得ず、
客の誘導に失敗してしまう。
本人は気づいていないようだが、
芹沢はしっかりそれを見ていた。
●2人目・板垣勇次
夏川の推薦を受けた板垣(土屋佑壱)は、
手際が良く、中華料理一筋20年の一流料理人。
現在も大手ホテルの厨房を任されており、
雇用先は引く手あまた。
だが、「自分の店を持ちたい」という
志のもとコンペに参加した。
しかもタンメンのバージョンアップを
提案するほど意欲的だ。
「野菜を炒める前に、油通ししているんですね!」
「あれで余分な水分が抜けて、
だしや調味料が染み込みやすくなるし、
歯ごたえや色味もよくなるしね」
「ひと工夫したいと言われたときは、
ちょっと不安だったけど」
「うちの味のままうまくしてくれたんだ、
大したもんだよ」
大平夫妻も納得の味に仕上げるさすがの仕事ぶり、
経歴は伊達ではない。
「ほんとテキパキした仕事ぶり」と
うっとりする夏川だが、
一方で芹沢の視線は冷たい。
出来上がった料理を声かけもせずカウンターに置く、
味見のためにお玉をなめる、もやしの袋をまな板の上に置くなど、
板垣の衛生観念のなさに厳しい視線を向ける芹沢。
先行きは怪しくなってきた。
●汐見のスパイ活動
夏川に「母親の人脈を使えば?」と軽口を言われ、
まんまとそれに乗って
橋爪ようこクッキングスクールの前で
生徒を待ち伏せする汐見。
スクールから出てくる生徒たちに
「ラーメンで夢を掴みましょう!」と
声をかけるが、そうそううまくはいかない。
「これで空振り8人目…」
うなだれる汐見がスクールの建物の影に戻ると、
そこにはリクルートスーツにひっつめ髪の集団が
汐見を待ち伏せていた。
「確保!!」
「いやっ、ちょっと、離して、ちょっとー!」
「校長がお呼びです」
「…げっ」
スパイ活動をしているところをようこに見つかってしまい、
抵抗もむなしく薬膳料理を口に詰め込まれる汐見。
そこに汐見の父・亮二と芹沢がやってきた。
ようこの連絡を受け、嫌な予感のした
汐見の父・亮二(利重剛)が
芹沢を呼び寄せたのだ。
亮二が汐見の束縛を解く料理の一方、
面白がって動画を撮影する無情な芹沢。
「来ちゃったんなら仕方がないわね。
オタクの社員が、うちのスクールの生徒に
ちょっかい出してきたんだけど、
その責任をトップとしてどう取るおつもりかしら?
これ立派な営業妨害よ」
「私としては社員以前に、こういう不出来なポンコツを育てた
製造責任を橋爪先生に問いたいところですけどね?
親子ゲンカの度に、いちいち人を巻き込むのはやめてください。
海原雄山と山岡士郎じゃないんですから」
「ふふん」
「そうだよ、ようこさん。芹沢社長だって
お忙しいんだから。僕だって君とは離婚してるんだからね?」
「あなたにはゆとりをラーメンという
ダークサイドに引きずり込んだ責任があるでしょう!?
ゆとりがここまでぐれちゃったのはあなたのせいなのよ?」
「ぐれてないしダークサイドにも
落ちてないってば!私はもう帰るっ!」
「あら中華料理屋の後継者探しを
お母さん手伝ってあげてもいいのに~~」
帰ろうとして背中で聞いた母親の一言に、
「やばい」という顔をする汐見。
芹沢は鬼の形相だ。
「汐見、あなた守秘義務って言葉知ってる?」
「すいませんっ!薬膳料理攻めにあう前に、
くすぐり攻めにあって、全部吐かされちゃって…」
「それにしても達美ちゃんも酔狂なことするのねえ?
お店の後継者探しなんて、
若い社員たちに任せてもうまくいくとは思えないのにぃ」
「うちにはうちの方針というものがありますから」
「その方針で大丈夫なの?ほらぁ、前にオタクのお店の支店、
突然閉めちゃったことあったでしょう」
ようこの一言で、芹沢の表情が凍った。
さすがにただ事ではない雰囲気を感じ取った汐見だったが、
どうすることもできない。
「確か品川だったわよねえ?あれ、雇ってた人間が
なんかトラブルを起こしたんじゃなかったっけ?」
「…忙しいので失礼します。汐見帰るわよ。
別に置いといてもいいんだけど?」
「いや帰りますっ、帰ります」
芹沢にも、「人材発掘」に暗い過去があるようだ。
●3人目・小森仁志
今夜10時は『行列の女神〜らーめん才遊記〜』5杯目放送です!
清流企画で老舗中華食堂の後継者を探します!
須田が推すのは小森くん!
ほら、美味しいラーメン作りそうでしょ!
果たして勝ち残るのは誰だ!?#らーめん才遊記#海老沢七海くん#テレビ東京 pic.twitter.com/9XizzQDEzA— 前野朋哉 (@maenotomo18) May 18, 2020
「厳しい修行で有名なラーメン店で5年間も耐えた逸材、
腕前は相当のはず」と小森(海老沢七海)を推薦した須田。
須田の話を話半分に聞く芹沢と感心する汐見。
しかし店の前にできあがった行列に心を躍らせて
須田が店内に入ってみると、
店内のテーブル席をすべて脇に寄せられており、
使っているのはカウンター席のみ。
行列をサクラにして客を呼び込み、
店内の張り紙では「有機野菜使用」「モンゴル産岩塩使用」など
ウソばかり。
その上勝手に「原価率を計算した」と
タンメンに使う野菜の量を減らすなどインチキ三昧だ。
怒り心頭の大平夫妻は、厨房に小森を呼び込み説教をする。
「もう我慢できないわ!あんたがやってること、
お客さんに迷惑かけることばっかりじゃないの!」
「まったくだよ!困るんだよこんなことされちゃ!」
様子がおかしいため芹沢が鎌をかけると、
小森はすぐに自白した。
ラーメン店の修行は1週間だけ、
普段はずっと家にこもっており就労経験はない。
須田に話していた自慢話はラーオタつながりの集まりで
マウンティングするためのウソだった。
須田は経歴の裏も取らずに、知り合ったばかりの小森のウソを
鵜呑みにしてコンペに参加させてしまったのだ。
それでも「この程度の店なら俺でも十分やっていける」と
のたまう小森に、芹沢はゆっくりと近づき、
静かな声でこう言った。
「すぐにこの場から消えなさい」
「…え?」
「とっとと失せろこの詐欺ニート!!!!」
芹沢のすさまじい怒号に突き飛ばされるように、
ほうほうの体で逃げ出す小森。
残された清流企画の面々は、
今回の不手際を大平夫妻に深々と詫びた。
「明日までに次の候補者が見つからなければ不戦敗」と言い渡され、
店を元通りにすることを命じられた汐見はがっくりと肩を落とした。
「不戦敗…、ボーナス査定最悪…」
「うちも、もう閉めるか」
「そうね、お客さんはけたら」
それぞれ落ち込んだムードの三人に、
カウンターから一人の男が声をかけた。
「いやぁ~困ったことになったねえ、失格なんて」
「え?」
「あ、ごめんね、いきなり話しかけちゃった。
…ごめんついでに、話は全部聞かせてもらったから、
僕でよかったら力になるよ?」
「え?なんですか?力になるって」
「この店の後継者を探してるんでしょう?
だったら僕がなってあげるって!」
髭にメガネ、カーキのスタジャンにグレーのスラックスという
無職の雰囲気を漂わせたこの酔っ払い。
うさん臭さしかないが、いったい何者なのだろうか?
まったくの見ず知らずにもかかわらず、
「これからレシピを教えてくれ」と男は勝手に話を進めてしまう。
●最後の候補者・酔っぱらいの鷹野
「行列の女神~らーめん才遊記~:第5話 コンペに苦戦する その前に現れたのは…」(May 18, 2020 at 12:15PM) https://t.co/8ovaZdodLd
— MANTANWEB (@7109mw) May 18, 2020
結局鷹野(音尾琢真)を候補者にすることになってしまった汐見。
困り切った様子で茂幸にレシピを習う鷹野を、芳江と見守る。
「さっき会った酔っぱらいのおじさんに候補に
なってもらいましたって社長に言ったら、
もう絶対怒られますよ!下手したら、最悪クビかも…」
「でも悪い人でもなさそうよ。うちの人も、なんだか楽しそうだし」
「は~あ、終わった終わった。大平さん、ありがとうございました」
「いや~あんたはなかなか飲み込みが早いよ」
「光栄です。それで、明日からの話なんですが、
コンペは三日間だと聞いているので、
明日と明後日の営業は、お二人だけでよろしくお願いしますね」
「え、お願いしますって、どういう意味ですか!?」
「私はほかに、やることがあるものですから、
はっはっは。じゃあそういうことでよろしく!」
開始早々「店に来ない宣言」をした鷹野に不安を募らせる汐見。
その不安は的中し、次の日から鷹野はお店に出ないどころか、
近所の居酒屋で昼間から数人でビールをあおっていた。
「後継者以前に人としてダメダメだ」と
珍しくダメ出しで怒りをあらわにする汐見。
しかし、これはすべて鷹野の戦略だった。
コンペ最終日、芹沢と汐見が
おおひら食堂に来てみると店の前には長蛇の列が!
一日目には近所を歩き回ってリサーチし顧客層を確認、
二日目には近隣のマンションに
「野菜400gタンメン、一日に必要な野菜が取れます」と
書かれたチラシのポスティング、昼間に飲み屋でビールを飲んでいた相手は
近隣商店街の喫茶店と八百屋の店主で、
根回しをして行列対策と安くて質のいい野菜の仕入れを
お願いしていたのだった。
コンペ最終日、店内は満席で、
人の流れもよく、活気に満ち溢れていた。
●コンペの結果
その夜、いよいよコンペの結果発表の時がやってきた。
芹沢は、大平夫妻に後継者の発表を促した。
「我々は…、そちらの鷹野さんに、この店を譲りたいと思います」
「え!?」
「ありがとうございます」
静かに礼をする鷹野に、黙っていられない夏川と白坂。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「不服なの、夏川?」
「だって、三日間のコンペのうち、
二日間はお店にも出てなかったんですよ!?
なのにどうしてですかっ」
「そうですよ!このコンペは、
売り上げや宣伝のうまさを競うい合うものじゃないはずですよ!?」
詰め寄られても大平夫妻は全く動じなかった。
「口下手なもので、うまくは言えませんが…。
こちらの、鷹野さんが一番店主の器だと思うんですよ」
「店主の器」という抽象的な言葉に引っかかる汐見と須田。
しかし、芹沢にとってはこれは納得の結果だった。
「そうね、大平さんご夫妻はさすが商売を長くされてるだけあって、
人を見る目がおありになる。ほかの二人の欠点にも、
気づいておられたようだし」
芹沢が気付いたような欠点に、
大平夫妻もとっくに気づいていたのだ。
松井は言われたことだけをこなす、
雇われ店長の気質が抜けず、
効率的な働き方ばかりに気を取られ、
客の誘導を考えていなかった。
板垣は作った料理とカウンターに出しっぱなしで放置、
客に見えない厨房での癖が抜けない衛生観念のなさを
「業界の常識は世間の非常識」指摘され、
まったく言い訳できなかった。
二人ともそれぞれ長所はあっても、
経営・調理・ホールを管理する
「店主の器」ではないということだ。
「つまり、松井さんは、必要最低限の仕事のことしか
見ていなかった、ということですね…」
「板垣さんは、料理のことしか考えていなかった…」
「小森君は、それ以前の論外…」
それぞれの見る目の甘さに打ちのめされる白川、夏川、須田。
「その通り。でも鷹野さんは違った。
彼はこのおおひら食堂というお店と、
このお店にかかわる人を見ていたのよ」
思わず舌を巻くような鷹野の手腕に圧倒される面々の頭に、
当然の疑問が浮かぶ。
「この人、何者なんですか?」
「新人の汐見はともかく、あなたたち明らかに勉強不足よ。
あの鷹野研次郎を知らないなんて」
芹沢の言葉に、汐見・大平夫妻を除いた全員が衝撃を受けた。
偶然現れた酔っぱらいの男は、
たった8坪から始めた居酒屋を
瞬く間に日本屈指のチェーン店にした
外食業界のカリスマ・鷹野研次郎だったのだ。
「そんなすごい人が、なんでうちみたいな店に…」
「いやあ、恥ずかしながら私、
ここ数年は飲食業界自体と
離れて暮らしていたんですよ…」
「3年前ですね、経営していた居酒屋とは
別の洋食チェーンでバイトテロが起きたの」
3年前に起きた「洋食キッチンけんじろう」のバイトテロ騒動。
キッチンで野菜を使ってバッティング練習をする学生バイトの
悪ふざけ動画が拡散され、対応のまずさで店は閉店、
損害賠償をした学生バイトが自殺未遂をした挙句、
一家離散するという悲惨な騒動だった。
そのことで思いつめた鷹野は、飲食業界から引退したのだ。
「でもそれって自業自得なんじゃ?」
「そうですよ、お店の方がむしろ、被害者なんですから」
夏川と白坂は経営者の立場でフォローする。
「もちろん、私も当時はそう思っていました。
でも、後になってから考えたんですよ。
若いアルバイトの悪ふざけを止めるような指導を、
自分はしていたか…」
「アルバイトが勝手にやったことでも、
雇用責任、監督責任がありますものね」
「おっしゃる通りです。先ほどの芹沢社長の言葉を借りるなら、
私はあの時、店や人ではなく、経営しか見ていなかった。
「だからこそ、今度はしっかりと、店と人と向き合う商売をしてみては」と言われ、
コンペに参加することを決めたんです。
…橋爪ようこ先生のお誘いでね」
思わぬ人物の名前が出て、最初に反応したのは汐見だった。
「おっ、母さんが!?」
「汐見、あなたまだ気づいてなかったの?
じゃなきゃこんな偶然、あるわけないでしょ」
「申し訳ない、橋爪先生の名前を最初に出すと、
絶対に拒否されるからと言われてたもんだから」
「あったりまえですよ!!」
できすぎた偶然の裏では、ようこが糸を引いていたのだ。
しかしそのおかげで、おおひら食堂は
これ以上にない後継者を得ることができた。
「まあ、とにかく、大平さん、奥さん。
このおおひら食堂、私が責任をもってお引き受けいたします」
「どうぞ、よろしくお願いします。
鷹野さんみたいな人に継いでもらえると、
安心ですよ私たちも」
「ほんとよかったわねえ、あなた!」
大団円と拍手の中で、居場所を無くし
すごすごと退散しようとする敗れた候補者・松井と板垣。
しかし鷹野はその二人を呼び止めた。
「あ、ちょっと待った!松井君と板垣君だったよね?
君たちもし良かったら、この店で一緒に働かないか?」
「え、いいんですか?」
「この店はこの先もっと繁盛するし、規模も拡大していく。
私なら君たちに独立のノウハウを教えてあげられるからね!」
「それは…願ってもない話です!」
「よし、これで腕利きの料理人とマルチプレイヤーを二人ゲットだ!
我々の商売にとって、人脈っていうのは宝だからね」
「よろしくお願いします!」
握手を交わし、本当の大団円を迎えた今回のコンペ。
「すごい…」
「まったく、腹立たしいほどにね」
「へ?」
すべてが円満に解決し、
圧倒される汐見だったが、芹沢はご立腹だ。
それもそのはず、これは芹沢の計画ではなく、
芹沢の計画をぶち壊すようこの計画がうまくいった結果だったのだから。
●コンサルの道は深く長い
大繁盛するおおひら食堂、候補者の松井と板垣は
新しい展望を得て、有栖も納得のタンメンが
これからもずっと食べられることになった。
汐見は人材発掘の難しさを知り、
コンペは大きな成果を得たはず、だったのだが…。
厨房で新しいラーメンを試作する
芹沢の心は穏やかではなかった。
「あの、社長。なんだか怒ってません?
この間も腹立たしいとか言ってましたし…」
「腹立たしいわよ。だからボーナス査定は、
夏川と白坂が普通。須田がマイナス。
で、汐見、あなたはナシ!」
「どうしてですかっ!?鷹野さんは私の候補者ですよ!」
「橋爪ようこの紹介でしょう?だからノーカウント!」
「~~~~~なんなんですかそれ、もう!個人的な感情で!」
「ねえ汐見、前に言ったはずよ?
あの大平夫妻からは、がっぽりコンサル料を頂けそうだって」
「それは聞きましたけど…」
「他の二人の候補者だったら、それぞれ問題があったから、
これからも指導に当たれたし、細く長くコンサルを続けていけた。
でもあの鷹野さんが相手だったら、
そういうわけにはいかないでしょう!うちは大損よ!
つまりこれは、橋爪ようこが仕掛けた私への嫌がらせだったってわけ。
だからあなたはボーナスなし。むしろクビ一歩手前。反論は?」
「…ありません」
ラーメンはおいしければ売れるわけではない。
同様に、ただ解決するだけがコンサルの仕事ではない。
コンサル道とラーメン道は、長く奥深いものなのだ。
『行列の女神~らーめん才遊記~』第5話の感想
行列の女神~らーめん才遊記~(ドラマBiz) https://t.co/7w3a2hQeGH
この回がきたw pic.twitter.com/dP2q6mOX09— ヤンヤン (@young2net) May 19, 2020
後継者不足というは、どこの業界も深刻ですね。
人生100年時代とはいえ、体は衰えるし、
無理が効かなくなる前に後継者を
育てないといけないという事実は、
なかなか取りざたされません。
「自分はまだやれる」「生涯現役」という言葉は魅力的で
、一線を退くタイミングは難しいものです。
そんな中、40年の営業経験で養った「人を見る目」を
後継者探しに使うことのできた大平夫妻には、
さすがと言うほかありません。
後継者不足とバイトテロは根本的に同じ問題だと
捉えている芹沢とようこ、
やはりただ者ではありません…。
違う美学と同等の能力を持つ二人の勝負に
今後も目が離せません!
「行列の女神~らーめん才遊記~」は、
カリスマ社長・芹沢の辣腕コンサルドラマであると同時に、
ポンコツ社員・汐見の育成ドラマでもあり、
どちらのテーマも同時に描き切っていて本当に見事だと思います。
情報量が「こってり」なのでまとめるのは大変ですが(笑)
来週も楽しみです♪
『行列の女神~らーめん才遊記~』第5話のラーメン協力
☆三宝食堂
〒183-0006 東京都府中市緑町3丁目17−7
「おおひら食堂」の撮影に使われた定食屋さんです♪
カレー定食、カツやフライにチンジャオロースなど、
昔ながらの定食が売りです!
☆ごっちゃん
〒183-0022 東京都府中市宮西町1丁目12−1 1F
鷹野がコンペ中に立ち寄っていた
開放的なカウンターの居酒屋さんです♪
『行列の女神~らーめん才遊記~』第6話の予告
6杯目🍜 5月25日(月)夜10時!
お題はボリューム系ラーメン⁉️
ゆとりが倫子とのリベンジコンペに挑む👊💥
そして、マダムキラー白坂にある葛藤が…🧐
お楽しみに🍥#鈴木京香 #黒島結菜 #高橋メアリージュン #小関裕太 #前野朋哉 #松井玲奈 #石塚英彦 #杉本哲太 pic.twitter.com/YzplMJMdfx— 行列の女神〜らーめん才遊記〜(テレビ東京ドラマ)6杯目5月25日(月)よる10時 (@Biz_txdorama) May 18, 2020
汐見ゆとり(黒島結菜)は初めて『らあめん清流房』の
手伝いに入れることになり、かなり浮かれている。
一方、白坂隼人(小関裕太)は、
担当する店の新メニュー開発でトラブルが発生。
流行に乗ろうとする白坂の提案に
クライアントが納得いっておらず、
対応に追われていた。
そんな中、ラーメン業界最大手のチェーン店を経営する
「楽麺フーズ」社長の蒲生博昭(マギー)が来店する。
実はまもなくオープンする新店舗で、
看板にする店舗限定メニューの開発を
芹沢達美(鈴木京香)に依頼するため、
『らあめん清流房』にやって来たのだ。
ただし2社で争うコンペ形式。
しかも相手は、以前期せずして戦うことになった、
あの「味惑コーポレーション」の
難波倫子(松井玲奈)だという。
そこで芹沢はゆとりを担当に、
白坂をサポートにつけ、蒲生の依頼を受けることに。
だが「無難な味で見た目がインスタ映えするぐらいがちょうどいい」という白坂に対し、
ゆとりは「メニュー開発を依頼された意味がない」と反論。
ふたりの意見は真っ向から食い違ってしまう…。
「勝たなきゃ意味がない」と豪語する芹沢の信念を背負い、
汐見と白坂はコンペに勝つことができるのか!?